【子どもの健康検査等を求める水戸市への動き(3)】【水戸市長あて要望書】2012.11.23

平成24年12月  日

水戸市長 高橋 靖 様

 

水戸ママ有志の会

 

 

水戸市の子どもたちを放射能から守る対策として甲状腺エコー検査等を求める要望書

 

平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が広く拡散された問題で、子どもを放射線被ばくから守るため、平成24年6月21日、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「原発事故子ども・被災者支援法」という。)が成立し、同月27日に公布されました。

「原発事故・子ども被災者支援法」第13条第2項では、子どもが放射線による健康への影響を受けやすいことを踏まえ,子どものときに一定基準以上の放射線量の地域に住んでいた場合、健康診断が生涯にわたって実施されるよう国が必要な措置を講じることとされています。

昨年の事故直後に大量に放出された放射性物質のうち、放射性ヨウ素は半減期も短いため、現在ではホールボディカウンター等での測定は困難になってしまいました。しかし、各研究機関の調査により、茨城県内でも相当量の汚染があったことが明らかになりました。当時は、国から屋内退避の指示もなかったため、子どもたちが放射性ヨウ素による被ばくをした可能性があると考えられます。

チェルノブイリ原子力発電所事故の場合、小児甲状腺癌が事故後34年後から多発するなど、子どもたちの放射線障害は時間を経てから症状が出てくるという実態があり、子どもたちへの健康検査を早急に実施していく必要があります。

また、福島県の発表では、福島県内の18歳以下の子どもを対象に行っている甲状腺エコー検査で約36%の子どもの甲状腺にしこりなどが見つかり、経過観察や二次検査を行う等の対応をするということです。

第13条第2項の「一定基準以上の放射線量の地域」を水戸市として判断する際に、放射性セシウム等半減期の比較的長い核種だけでなく、放射性ヨウ素等の半減期の短い核種による事故初期段階の内部被ばくについて考慮した健康リスク評価も重視し、そのうえで、「原発事故・子ども被災者支援法」をもとに、水戸市においても子どもたちが甲状腺エコー検査等を継続して受けられるための支援制度を確立することを希望します。

「原発事故・子ども被災者支援法」第13条第3項では、被災者たる子ども及び妊婦が医療(東京電力原子力事故に係る放射線による被ばくに起因しない負傷又は疾病に係る医療を除いたものをいう。)を受けた時に負担すべき費用においてその負担を減免するために必要な施策その他被災者への医療の提供に係る必要な施策を講じることとされています。

子どもたちの健康への懸念や被害を最小限に抑えるため、水戸市においても疾病の予防と早期発見、早期治療ができる体制を速やかに整備することを希望します。

「原発事故・子ども被災者支援法」第8条第3項では、支援対象地域にある家庭、学校等における食の安全及び安心の確保に関する施策には、学校給食の共同調理場等における放射性物質の検査のための機器の設置に関する支援が含まれているとされています。

事故後、茨城県産の一部の食品からも暫定基準値を超える放射性物質が検出されました。半減期が30年のセシウム137も相当量検出されているため、今後も食品の長期的な監視が必要です。

また、学校給食について計測されたすべての結果は、検査の結果、汚染が少ないことが判明した場合には、給食への不安が大きく低減されることになるため、わかりやすく速やかに公表することを希望します。

「原発事故・子ども被災者支援法」第7条では、国は放射性物質により汚染された土壌等の汚染等の措置を継続的かつ迅速に実施するため必要な措置を講ずるものとし、子どもの住居、学校、保育所その他の子どもが通常

所在する場所(通学路その他の子どもが通常移動する経路を含む。)及び妊婦の住居その他の妊婦が通常所在する場所における土壌等の除染等の措置を特に迅速に実施するため、必要な配慮をするとされています。

放射性物質は低い場所や水の流れ等により集まって濃縮し、ホットスポットができるため、事故後、時間が経過した後も続けて測定を行うことが必要です。測定で見つかったホットスポットについては、速やかに除染等の措置を行うことを希望します。

 ついては、子どもたちを放射線から守るため、以下の対策を水戸市に求め、要望しますとともに、この回答を平成25年3月末を目途に文書でいただきますよう、よろしくお願い致します。

 

 

(1)水戸市内に居住する、原発事故当時18歳以下の子どもの甲状腺エコー検査や血液検査等の健康検査を当面10年間、継続的に受けられるための支援制度を早急に確立し、その後の検査の継続については検査結果のデータから判断すること。また、その検査結果については、保護者に詳しく報告し、異常が見られた場合は二次検査を受けられる体制を整えること。

 

(2)水戸市で精密な食品放射線測定が行えるよう、ゲルマニウム半導体検出器を設置し、水戸市内の各小中学校・幼稚園・保育施設の給食で使用される米・麦・牛乳の測定を行うこと。

 

(3)給食に使用する米・麦・牛乳は10Bq/kg以下のものとすること。さらに、来年度からは、5Bq/kg以下とすること。また、自校調理の園や学校から食品測定の要望を出しやすくするため、市は、保護者向けに要望書の様式を作成の上、園や学校から保護者に配布し、献立で心配な食材があれば、前もって測定の要望を提出すれば測定可能であることを毎月、献立表に併記するなどして保護者へ周知させること。食品測定や食材輸送の体制を強化すること。

 

(4)空間放射線量の測定については、機材や人を増やすなどして、市による測定の拡充と、ホットスポットを除染する体制の強化をすること。また、市ホームページ上で測定した数値を公開するだけでなく、市によって除染が行われた場所については、ホームページ上で、特に除染したことを示し、除染前と除染後の数値を明記すること。

 

(5)原発事故が起きた場合に備えて、安定ヨウ素剤を水戸市内の各地域の学校や、病院、市民センター等できる限り早急に受け取れる場所に備蓄し、非常時に住民がどこへ受け取りに行くとよいかを、市の防災マニュアルやマップ等へ含めて明らかにすること。

 

(6)震災が発生した場合、原発事故発生の可能性も考慮して、子どもを放射線から守る体制を整えること。水戸市内の各小中学校・幼稚園・保育施設においてそれぞれ放射線測定を行い、異常な値が出た場合は、校長・園長の判断で屋内退避を徹底させ、備蓄したマスク・雨合羽・傘を配布する等の対応をとること。