2013.12.10 【水戸市長へ面会】原子力安全協定枠組み拡大等を求める要望活動(水戸市・鉾田市・ひたちなか市・東海村の住民、全6名) その1

 東海村にある東海第二原発で異常が起きた場合に施設への立ち入り調査などを認める「原子力安全協定」を、日本原電は現在、茨城県、東海村、隣接する4市(日立市・那珂市・ひたちなか市・大洗町)の合計6自治体と結んでいますが、2011年3月に起きた福島第一原発事故後、茨城県央首長懇話会では、協定を結んでいない水戸市・常陸太田市・常陸大宮市・城里町・茨城町・鉾田市についても協定を結ぶよう、原電に求めています。

 今年9月30日、日本原電は安全協定の枠組み拡大を求める要求に対し、回答を年内まで保留にするという回答をしました。

 今年も残すところひと月を切り、12月10日、水戸市民と周辺の住民(水戸市住民3名、鉾田市住民1名、ひたちなか市住民1名、東海村住民1名)で県央首長懇話会の座長を務めている水戸市の高橋靖市長へ面会と要望(お礼と激励)にうかがいました。

 

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

【要望書】

平成25年12月10日

水戸市長 高橋 靖 様

 

水戸市民及び周辺市町村住民有志一同

 

 

水戸市及び茨城県央地区の住民を放射能から守る対策として、

     日本原子力発電株式会社に対し、原子力安全協定の枠組み拡大を

     強く求めていくこと等を求める要望書

 

 

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故によって起きた放射能汚染により、福島県内では現在も、双葉町・大熊町・浪江町の大半と富岡町・葛尾村・南相馬市・飯館村のそれぞれ一部が帰宅困難区域に、飯館村・富岡町の大半と南相馬市・浪江町・大熊町・川内町・川俣町・葛尾村のそれぞれ一部が居住制限区域に、そして、楢葉町・葛尾村の大半と南相馬市・浪江町・富岡町・川内村・大熊町・田村市・葛尾村・川俣町・飯館村のそれぞれ一部が避難指示解除準備区域に指定されており、区域の内外から福島県内の別の市町村へ9万630人の方が、そして、福島県外へ4万9千554人の方が避難をされている状況であります(「平成23年東北地方太平洋沖地震による被害状況速報(第1087報)」(平成25129日(月)福島県災害対策本部)より )。

 福島第一原子力発電所から飯館村役場までの距離でも38.95キロメートルあり、原子力発電所等の事故による放射能汚染自体は、原子力規制庁が事故後に定めた緊急時防護措置準備区域(UPZ)(原子力施設からおおむね30キロメートル)圏内を超える可能性があるということが分かります。

 茨城県内には、東海村に日本原子力発電株式会社東海第二発電所があり、約2年9か月前の東日本大震災の際には、地震直後に停電が起き、非常用発電機3台により非常用炉心冷却システム(2系統)が起動したものの、地震から30分後の高さ5.4メートルの津波に襲われて発電機のうち1台が停止してしまい、非常用炉心冷却システム1系統も使用できなくなって、原子炉内の水温・圧力が高い状態が続き、その後、注水と逃し弁の開閉等の作業を繰り返し、3日後に外部電源の復旧により、非常用炉心冷却システムも再び動き、ようやく炉内の水温が100度未満の冷温停止状態に至ったということです。

  このような東日本大震災を教訓として、日本原電・東海第二発電所との原子力安全協定を、立地である東海村だけでなく、その枠組みを周辺市町へと拡大することを日本原電へ強く求め続けていくことを希望します。

  ついては、水戸市及び県央地域の住民及び通勤している者を放射能から守るため、以下の対策を水戸市に求め、要望しますとともに、この回答を平成26年3月末を目途にいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

(1)日本原子力発電株式会社に対し、東海第二発電所との原子力安全協定の枠組みを東海村のみならず、周辺市町へ拡大し、枠組み内の市町が日本原電に対して東海村と同等の権限をそれぞれ持てるようにするよう強く求め続けていくこと。

  また、県央首長懇話会の区域外ではあるものの、一部が東海第二原発の30キロメートル圏内に当たる鉾田市についても、UPZ圏内ということで、鉾田市と首長懇話会とで連絡を密に取り合い、ともに原子力安全協定の枠組み拡大を求めていくこと。

  たとえ、日本原電からの回答がこちらの望むようなものでなかったとしても、水戸市は決してあきらめることなく、必ず原子力安全協定の枠組みの拡大を実現するために、水戸市民や周辺市町村及びその住民と協力し、粘り強く、繰り返し繰り返し、日本原電へ求めて続けていくこと。

 

(2)水戸市内に居住する、原発事故発生当時18歳以下の子どもたちが、甲状腺検査や血液検査等の健康検査を継続的に受けられるための支援制度を早急に確立すること。検査結果については、保護者にエコー検査の画像を手渡し、詳しく報告し、異常が見られた場合は二次検査を受けられる体制を整えること。

  福島県内から避難されてきた家庭の子どもたちも、茨城県内・水戸市内で検査が実施できるように体制を整えること。

  また、子どもの健康検査を国の費用負担で行えるよう、水戸市を「子ども・被災者支援法」の支援対象地域に指定することや、もしくは同等の扱いとなるよう、国へ強く求め続けること。

 

(3)東日本大震災からの教訓を踏まえ、東海村にある日本原子力研究開発機構(JAEA)の東海再処理施設に対し、万全で十分な津波対策を実施するよう求めること。

 

(4)今年5月23日に発生した、東海村にあるJ-PARCでの放射性同位体漏えい事故については、連絡の遅れや時間が経過するごとに広がる被害の大きさ、施設での研究者らの危機意識の低さに対し、水戸市民も不安を覚えたが、事故の説明会は東海村内でしか行われなかった。このことについて、水戸市においても説明会を実施するよう、J-PARCに求めること。

 

(5)原子力災害時の避難計画について、市民全員が安全に速やかに避難できる経路と避難方法を確実に確保・整備し、避難先の確保も行うこと。また、乳幼児や妊産婦、子ども、小さい子連れの方、介助が必要な方が安全に避難できる手段や方法を策定し、避難時に必要な物品をあらかじめ確保しておくこと。

 

 

(6)原発事故が起きた場合に必要となる安定ヨウ素剤を市内各所へ備蓄、または各世帯へ配布するなどの対策が求められるが、配布方法・保存・保管方法・服用方法・服用するしないの判断・服用するタイミングやそのタイミングについての情報の受け取り方等、市民が不安にならずに済むよう、水戸市と市民とが一緒に方法をよく相談し、市民も納得できるような方法にすること。

  また、安定ヨウ素剤に関して市民が不安を感じた場合、水戸市で適切に対応できるようにすること。

 

 

(7)水戸市内の各小中学校・幼稚園・保育施設の給食について、公立・民間を問わず、食品放射線測定の頻度を上げること。水戸市のホームページには検出限界値も記載すること。

  また、茨城県に対し、ゲルマニウム半導体検出器による県内市町村の学校給食の食品放射線測定を来年度以降も継続して実施し、今後も記録を残していくことを求めること。

 

 

(8)水戸市内の各小中学校・幼稚園・保育施設における校庭や園庭の土壌測定を実施し、結果を水戸市のホームページで公開すること。