2014.11.7.水戸市長あて「「原発事故子ども・被災者・支援法」の基本理念に則した健康追跡調査および自治体支援を国に対して求める要望書」を提出

10月末、茨城県内他市で原発事故後、放射能から子どもたちを守る活動をされてきた方々から、自治体から国へ健康調査に関する要望を出すことを求める要望書を各自治体へ提出するアクションをご案内いただきました。

環境省主催の前回の専門家会議において、関東は健康調査は不要という中間とりまとめだったため、次の会議が開かれる前に自治体から国へプッシュしてもらいたいというのが理由です。

次回専門家会議は11月26日に開催されるそうです。

水戸市からもぜひ、国へ要望書を出していただきますよう、よろしくお願いします。

(2014.11.7.秘書室預かりで提出。回答期日は11月30日でお願いしました)

 

(参考)

環境省「県外は検診せずリスコミで」〜傍聴席から批判殺到 |
OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー

http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1845
(2014年10月20日開催 第12回専門家会議)

 

(※添付書類省略)

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「原発事故子ども・被災者支援法」の基本理念に則した

長期的な健康追跡調査および自治体支援を国に対して求める要望書


水戸市長 高橋 靖 様


 

日頃より市政とりわけ放射能対策に御尽力いただきありがとうございます。

水戸市におかれましては、市民の声を傾聴し、市内の空間放射線量の測定をはじめとする対応もして頂き、感謝いたしてしております。


原発事故から3年、「原発事故子ども・被災者支援法」(以下「支援法」)基本方針の閣議決定から1年がたちました。支援法では放射性物質による放射線が人に及ぼす影響が科学的に十分解明されていないことから、被災者に対して様々な支援が必要だとされましたが、国からは未だに、支援対象地域以外で、これまで国へ支援対象地域指定の要望を行ってきた地域や汚染状況重点調査地域に対し、調査や子ども達を見守っていくための施策は何も示されていません。


現在、環境省による「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下「専門家会議」)が開催されております。


これまで委員から「低線量被曝の結末は誰も語れないのだから、検診で見守るか、補償という対応をとるしかない」という意見などが出され※1、外部有識者からも、「健康管理調査は福島県及び福島県以外の汚染の比較的強い地域において継続的に続けるべきである」などの提言※2や問題提起が多数回ありながら、十分に議論されることなくきました。


中間取りまとめは「通常のがん検診に含まれていない検査を行うことで、通常発見されない早期のがんを見つけてしまう」など、福島県外の検診については心理的なマイナス面を強調し、リスクコミュニケーションでの放射線に対する不安対策とするとしています。


原発事故は福島県だけでなく、東日本さらには北半球全体を放射能で汚染し、今もなお放出が続いている甚大な事故であり、低線量被ばくの健康被害が科学的に十分解明されていないことや、放射性物質の半減期が長いことから、汚染調査研究と長期にわたる健康追跡調査で、被災民の救済が行われてよいはずです。しかし、福島県はもちろん関東の汚染地域の被災市民の健康をどのように追跡調査していけるか、自治体のとりくみを支援していけるかという議論に至っておりません。


さらに、支援対象地域の指定を国に要望している自治体や汚染状況重点調査地域の自治体において、事故当時の汚染と被曝についての情報収集や、調査もなければ※3、当事者である市民や自治体への聴き取りもありません。

放射性焼却灰の保管もあり、事故による影響が続く関東の汚染地域で、リスクコミュニケーションによって、どのように不安を軽減しようというのでしょうか?


甲状腺検査を行っている「関東子ども健康調査支援基金」や医療機関の他に、生活協同組合などでも健康調査の検討をはじめています。当事者の声や動きを受け止め、原子力政策をとってきた国が補償してしかるべきであると思います。 

 

 水戸市でも多大な損害が生じており、自治体も被害当事者であります。

市におかれましては、住民の福祉の維持向上という自治体の本来の役割を果たせるよう、平成24年12月18日、水戸市議会第4回定例会において「水戸市の子どもたちを放射能から守るための健康調査を継続的に支援するための制度の確立」を求める請願が採択された願意を今、改めてしっかりと受け止めていただき、茨城県で支援対象地域の指定を国に要望している自治体や汚染状況重点調査地域の自治体と連携し、今一度、国に対して下記の1~5の事を強く要請をしていただきたく、要望いたします。


1、支援対象地域の指定を国に要望している自治体が、健康相談やリスクコミュニケーションではなく、長期的な健康追跡調査を実施できるよう、医療従事者の確保などを含む体制づくりをすすめること 


2、子どもに対する健康追跡調査や内部被ばく検査の助成などを実施する支援対象地域の指定を国に要望している自治体に対し、財政措置を講じること 


3、支援対象地域の指定を国に要望している自治体に対して、汚染や被曝のデータをさらに収集し、市民に対し、十分な情報提供と説明をすること 


4、今後も放射能被曝による健康被害を防止する観点から、放射線量測定及び放射線量低減策等に係る対策事業に対して支援し、財政措置を講じること


5、当事者ぬきの専門家会議ではなく、市民、市民団体という当事者をまじえた「検討会」の開催を実施すること 


以上、要望いたしますので、11月30日までに水戸市としてのお考えを文書でご回答くださいますよう、お願い申し上げます。


2014107

希望のたね・みと



放射能からこどもを守ろう関東ネット


【添付資料】

・『つくばで子ども甲状腺検査』(2014107日 常陽新聞)

・『子どもの甲状腺エコー検査』(2014827日 東葛まいにち)

・『「子ども被災者支援法」基本方針 閣議決定から1年』(20141015日 東京新聞栃木版)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20141011/CK2014101102000153.html

・『福島第一原発事故 子供健康調査、環境省に要望 関東3県の40市民団体』

2014918日 毎日新聞茨城版)

 

【文中の注釈】

※1 (第7回専門家会議)石川委員の発言

「…(略)・・・例えば、低線量被ばくの結末ということについては、もちろん誰も語れないわけですから、それが、情報としては、日本のいろんな国民、被災されたお母さん方も含めて、いろんな国民の方たちには、そういう低線量被ばくはどうなのだろうという、そこはかとない不安もあることは事実なんですね。このことについて、きちんと解説できればそれが一番いいんですけれども、それはできないわけですから、これはしょうがないと思うんですよね。私たちは、そういう検診という形で見守っていきますよ、補償しますよという対応を取るしかないと思います。」

「私のところで御説明いたしました、24年のときに、国会、参議院本会議で、全会一致で可決されたこの法律ですね。そこの8条のところから11条のところにかけて書いてあるんですけれども、国は支援対象地域、そして括弧付けて、その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが、一定の基準以上である地域を言うというようなことで書かれています。これがどこの地域を言うかということが一つ問題になると思います。

それで、及び支援対象地域以外の地域で生活する被災者、これは遠くに行ってしまった被災者ですね。これはもう明らかに検診する対象になると思うんですけれども、それと支援対象地域以外の地域から帰還する被災者並びに避難地域区域から避難している被災者を支援するため、食の安全・安心の確保に関する施策、子ども学習等の支援に関する施策、就業の支援に関する施策、移動の支援に関する施策等々、つながるんです。

先ほど、私は、松戸だとか、ほかのところのホットスポットのところの検診というのも、どうやってこの有識者会議で判断するのかということは明確に出すべきだというふうに思います。それを議論していただいて、要するにそういう声があるわけですから、そのことに対してやっていただきたい。

それをこの叩き台の中で、今、リスク評価というような形でまとめられていますけれども、その後でもいいですから、こういうところはきちんとやっていただきたいというふうに思います」


2(第8回専門家会議での意見聴取)

木村真三氏は骨子案に対してチェルノブイリ原発から250500km離れた地域でも現在でも甲状腺がんの増加傾向があることを示して、「健康管理調査は福島県及び福島県以外の汚染の比較的強い地域において継続的に続けるべきである」と提言しています。また菅谷昭氏は「甲状腺がんにのみ対応した検診ではなく、幅広い疾病に対応したもので、長期にわたる検査をすべき」と提言しています。


3(第8回専門家会議の専門家意見聴取)

森口祐一氏は「様々な個人や団体が測定したデータや未公開データの中には、動態評価や線量評価に有用なデータが存在している可能性があるためその収集・発掘が必要」と提言されています。


(専門家会議での意見聴取)

6月に崎山比早子氏が専門家会議に対して「意見および公開質問」(第7回「参考資料2-7」)がなされており、その中にも「被災者住民を委員として専門家会議に加えること」「行政が健康調査をしないために茨城・千葉を中心にして住民が自主的に健康管理を行う動きがあるが、専門家会議はこのような動きをどう考え、対処してゆくおつもりか」と質問されています。

 

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